焼締め茶器揃角小 蓋置皿付
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〈藤総製陶所〉焼締め茶器揃角小 蓋置皿付。急須・皿各1、碗2急須:約高さ9.5(フタ含む)×径10.5cm(持手含まない)、 容量約300ml、碗:約高さ4×径6cm、容量約50ml、皿:約高さ2×径10.2cm陶器日本製※電子レンジ可。手作り品の為、色・柄・サイズが異なる場合があります。持手を角にして持ちやすく、蓋を親指で抑える時のために蓋縁を少しくりぬきました。急須本体に開けられた茶こし穴は、職人が一つひとつ手作業で丁寧に開けています。三重県よりおいしく、使いやすく 『萬古焼』の急須の進化形三重県四日市市と菰野町周辺に伝わる『萬古焼』。国内生産高の約80%を占める土鍋や急須で知られる、素朴で温かみのある焼き物だ。その始まりは、江戸時代の元文年間(1736~1740)に、桑名の豪商・沼波弄山が茶の趣味が高じて現在の三重郡朝日町に窯を築き、自ら茶器を焼いたことにある。上質な粘度と窯を燃やす薪となる森林に恵まれ、破損させずに海路で運べる四日市港が隣接していたことから発展した。
「萬古の急須で淹れたお茶はおいしい」といわれるが、その所以は土と焼成にある。『萬古焼』を代表する紫泥の急須は鉄分を多く含む赤土を使い、製品の酸素を使う「還元焼成」で焼き締める。すると素地の鉄分が変化しお茶のタンニンと反応して渋みを和らげ、まろやか感じるのだ。
その味わいをより高め、さらに使いやすいお茶の急須を、と生み出されたのが、この急須。四日市市で明治40年(1907)に起業した『藤総製陶所』が製作している。「自分が使うとき、おいしく淹れられて便利な”道具”を目指しました」と、4代目の藤井健司さんは話す。使う人のことを考え抜いて 約2年かけて完成した急須
まず、お茶の味に影響を与え、洗浄が面倒な茶こしを排除。代わりに本体の注ぎ口に穴を開けた。石膏型で形をとり、天候や湿度を見計らい、素地が穴を開けるのに最適な硬さになったころ、特別に作った道具で職人が一つひとつ手で開ける。その数は100個ほどだが、穴の大きさや数によって、お茶の味が大きく変わるため、幾度も試作を重ねた。
お茶を最後の1滴まで注ぎ切り、液だれしにくいV字形の注ぎ口、ガラス釉をかけて茶渋や茶葉を付きにくくした内側、蓋を押さえる指を置けるくぼみも、実際に手にするとその使いやすさに驚く。4代目曰く「伝統は創るもの」。伝統は守っているだけではいつか廃れてしまう。「100年後に”伝統”となっているものづくり」を目指す同社の思いを、この急須はまさに体現している。
セットの蓋置皿は、蓋を置くだけでなく、すすり茶にも使えるもの。茶葉と少量の湯を入れ、碗に移して飲めば、香りや甘みをより強く感じられるだろう。「萬古」の名は、前述の沼波弄山が自作の茶器が変わることなく永遠に残るように「萬古」または「萬古不易」の印を押したことに由来する。その名のとおり、長く手元に置いて、大切に使いたい。

