<優彩> ガマ口
受取状況を読み込めませんでした
〈コーヤマ〉優彩 ガマ口。約タテ9.5×ヨコ13.5×厚み3cm本体:牛革、内側:合成皮革日本製※開口部:口金式、内部:5室。京都府京友禅の技を使い、 革に美しい色柄を染めあげる昭和37年創業の『コーヤマ』。京都の山の上にある工場の中には、天板が高温に温まるように作られた染め台が縦に細長く何台も並んでいる。
もともと京友禅で繁栄した街。染めの技術は古くから受け継がれてきた。糸目に使用する白防を使うことで、隣りあう色が混ざらなくなり、多彩な染め模様ができる。「白防」をおいたところは染料が染み込まず、最後の工程の「洗い」によって糊が洗い流され、ハッとするように美しい白線が浮かび上がる。これが友禅染めの特徴だ。今の革の染料染めで生かされているこの技術は、それまで京友禅で培われてきたこの「染め」の技術を応用し、追求を深めたことによって編み出されたという。手作業で染料染めを施された革製品は、色持ちがよく、革そのものが染まった革本来の風合いは、他の手法で色柄をつけられたものとは比べものにならない趣きがある。
革の染料染めには、大まかに言って3つの工程がある。型を使い「白防」を置いたあと色ごとに型を変えて行う「染め」、色を定着させるために蒸し機で行う「蒸し」、そして太鼓と呼ばれる大きな木製の洗濯機のような道具を使って糊や余分な染料を落とすことで白い糸目が浮かび上がる「洗い」。そのすべての工程で、職人の感覚が頼りになる。熟練職人が丹念に染めた 美しい花柄の長財布
工場に高温の天板が必要不可欠なのは、「染め」の工程において、次の色を染色するために乾かす時間を短くするのと、色や柄のにじみを抑えるためだ。素材の上に型を置き、一箇所ずつ染めては、型をずらしてゆく。染料の量や力の入れかたが難しく、感覚勝負なのだという。一方、「蒸し」の工程では温度をあげれば色はよく入るが、温度が高すぎると今度は革が焼けてしまうので見極めなければならない。革の種類によって何十度の熱を何分入れるか微調整する。革は天然の素材。それがどういう性格の革なのか、素材一つとっても色の出方は大きく変わる。「こればっかりは感覚としか言えませんな。革の個性を見るんですわ。革は反物のように厚さ表面が均一ではないため色々と工夫しています」もちろん、工夫を施しているのは職人だけではなく、色柄をデザインするデザイナーにも言えることだ。
今回は、維ぎ目がめだたない工夫を凝らしオリジナルで起こした小花柄を採用。素材と向き合う職人とデザイナーが協力することで生まれた品だ。



